第15回生命資源研究・支援センターシンポジウム
『膜接着部位における細胞内脂質輸送の制御メカニズム』
Nanyang Assistant Professor, Lee Kong Chian School of Medicine, Nanyang Technological University, Singapore
佐伯恭範
生体膜の脂質組成は、内因性膜タンパク質の制御、膜輸送系および細胞内シグナル伝達の調節など、様々な生理機能に重要な役割を果たしている。真核生物においては、これら膜脂質の大部分は、小胞体によって生合成され、他の細胞内オルガネラや細胞膜へと輸送されている。小胞体は、細胞膜を含め、様々な細胞内オルガネラと、恒常的に膜接着部位を形成していることが知られている。近年の研究により、これら膜接着部位が、脂質の輸送・交換、オルガネラ形成、細胞内シグナル伝達の制御等に大きく関わっていることが分かってきている。本セミナーにおいては、進化学的に保存された小胞体局在タンパク質であるextendedシナプトタグミンが、いかにして小胞体と細胞膜の接着と脂質輸送を協調させているかに関して、また、細胞内におけるコレステロールの輸送に対する膜接着部位の役割に関して、最新の知見を交えて紹介する。