第16回遺伝子実験施設セミナー「バイオリソース最前線」
節目を迎えたシロイヌナズナ研究と研究を先導するリソース整備
理研バイオリソースセンター・実験植物開発室
小林 正智
シロイヌナズナゲノムが解読されてから11年が経ち、国際協力により続けられてきた「Arabidopsis 2010 Project」により遺伝子機能の解明は大きく前進した。プロジェクトの推進には網羅的に整備された挿入変異体や完全長cDNAが大きな貢献を果している。シロイヌナズナの国際研究推進委員会は2020年までの行動目標について、①システム生物学の推進、②多様性を活用した環境適応と進化の理解、③基礎研究から応用研究へのパイプラインの構築、④情報基盤の国際的な整備、⑤国際連携のいっそうの推進、をあげている。この中でも特に多様性の活用に関しては、世界各地のシロイヌナズナ野生系統を活用するための遺伝型・表現型情報の整備が重要な鍵になると予想される。本講演では、野生系統リソースの情報整備を中心に、
理研BRC
の取り組みについて紹介したい。