第19回遺伝子実験施設セミナー「小分子RNAによる生体制御とゲノム編集」
小分子RNAによるゲノム編集法 - CRISPR/Cas 法
群馬大学 生体調節研究所附属生体情報ゲノムリソースセンター
ゲノム科学リソース分野 教授
畑田 出穂
最近、CRISPR/Casという①迅速・簡便に、②複数の遺伝子を同時にノックアウトできるゲノム編集技術が開発された。この方法を用いるとターゲット遺伝子と相補的な20-mer程度の配列を含むRNAをデザインし、Cas9というDNA切断酵素とあわせて細胞に導入するだけで、その部位を特異的に切断することができる。そのために非常に簡単にノックアウト細胞、さらに受精卵へ直接注入すればノックアウトマウスが迅速に(約1カ月で)作製できる。このようにTALENなど従来のゲノム編集技術と比較してもメリットの多い技術として、爆発的な広がりを見せている。まさに、マウスを酵母のように扱った遺伝学が行える時代が到来したと言える。一方でCRISPR/Casには、誤解や、解決の待たれる課題も存在している。本講演では、CRISPR/Casゲノム編集の最新の現状とノウハウ、今後の展望について概説するとともに、我々の開発したCRISPR/Casを用いた半数体による高効率ゲノム編集法やノックアウトマウス作製に関するノウハウなどについて発表する。