第6回生命資源研究・支援センターシンポジウム

「可変型遺伝子トラップクローンデータベース:EGTC」 

  熊本大学 生命資源研究・支援センター

          バイオ情報分野 准教授 荒木 正健 

 遺伝子改変マウスは、個体レベルでの遺伝子機能解析を行うための有力なツールであり、欧米では網羅的に遺伝子を破壊するプロジェクトが進行中である。我々は、遺伝子を破壊した後で様々な修飾を行うことが出来る可変型遺伝子トラップ法を開発し、可変型遺伝子トラップクローンデータベース;EGTC(http://egtc.jp)を全世界に公開しているので紹介する。

 2009年9月末現在、750クローンのES細胞株をEGTCに登録している。このうち85.6%が既知遺伝子をトラップしており、7.1%がEST、7.3%が新規遺伝子であった。ゲノムへのマッピングが出来たのは649クローンである。EGTCでは、主にプロモータートラップを行なっており、ES細胞で発現している遺伝子がターゲットになる。そこでトラップされた遺伝子の傾向を知るために、KEGGパスウェイ解析を行なった。その結果、特定のネットワークに偏ることなく、幅広いパスウェイをカバーしていることが判った。また、キメラマウスの作製も順次進めており、既に246マウスラインをCARD R-BASEに寄託している。