GTC On Line News No.852

2007年 8月22日

 下記日程で、第90回遺伝子技術講習会を開催します。多数の方の御来聴を 歓迎 いたします。

=== 第90回遺伝子技術講習会 ===

主 催:熊本大学 生命資源研究・支援センター 遺伝子実験施設
テーマ:『ミリポア Stem Cell講座』
   (1)幹細胞 基礎の基礎(40 min)
      〜 なぜ幹細胞研究なのか? 基礎からご説明します 〜
   (2)ES細胞の無血清培養と分化誘導制御(40 min)
      〜 ESGRO、HEScGRO培地と分化マーカーの特徴 〜
   (3)ヒトの神経幹細胞(40 min)
      〜 ReNcell と ENstem-A 〜
日 時:2007年 9月12日(水)13:30〜15:30
場 所:熊本大学 生命資源研究・支援センター 遺伝子実験施設
    6階 講義室(602)
講 師:日本ミリポア(株)ライフサイエンス事業本部  大久保 昌孝 氏
内 容:
『ES細胞の無血清培養と神経遺伝研究のための最適化』
 ES細胞は、研究者にとって遺伝機能の解明、生物学の理解と発展への活用そ し て、近年では、再生医療や創薬にとっても大変価値のあるツールとなってき まし た。
 一方で、幹細胞に示された可能性を十分に実現するために、幹細胞研究を加 速さ せるような最適な系が望まれようになってきました。この系の実現のため にミリポ アは、HEScGROやESGRO CompleteTMを含むヒトやマウスのES細胞の無 血清培養のため のコンプリート培地の一群を開発いたしました。

 HEScGROTM培地は、ヒトES細胞用として開発することに成功した、動物由来 物質を 含まない初めての市販培地です。Ready-to-use培地として供給される HEScGROでは、 H1、MEL-1、MEL-2ヒトES細胞を20代以上フェノタイプに分化 させずにメンテナン スすることが出来ます。ヒトES細胞細胞株が典型的な未分 化のヒトES細胞の形態を 示しているという結果は、Oct-4、SSEA-3、アルカリ フォスファターゼの幹細胞とし てのマーカがそれぞれ陽性であることにより、 Karyotypeが安定であることによっ て、示すことができます。また、さらに重 要な点として、 HEScGROTM培地中でヒト ES細胞を培養すると、遺伝的に異常で ある時に発現するバイオマーカである、 CD30の発現がネガティブとなることが わかっております。

 Ying(2003)らの発見がもとになった、ESGROComplete 培地は、マウスES細胞 の全 能性の可能性を広げるための無血清培地です。彼らの研究で示されたこと は、LIFと BMP-4のコンビネーションが、細胞のフェノタイプを分化させないま まの状態に保ち ながら、血清や、時にはフィーダーレーヤ細胞株の代わりとし て有効に機能するこ とでした。この能力は、ES細胞マーカの発現状態とノック アウトマウスを作るため のES細胞培養の機能面での可能性によって証明されま した。

 最後にヒトの神経始原細胞に関するユニークなアプリケーションとして、 ReNcellとENstem-Aのデータをご紹介します。それらが分化していく両方の細 胞株 共、マーカの発現と成熟した神経細胞に分化していく能力を持っていると いう神経 幹細胞としてのクラシカルな性質を示します。

 このセミナーでは、これらの幹細胞研究に関する製品のアプリケーションに おけ る技術的側面とその利点をご紹介させていただきます