下記日程で、第90回遺伝子技術講習会を開催します。多数の方の御来聴を歓迎いたします。

=== 第90回遺伝子技術講習会 ===

主 催:熊本大学 生命資源研究・支援センター 遺伝子実験施設
テーマ:『ミリポア Stem Cell講座』
   (1)幹細胞 基礎の基礎(40 min)
      〜 なぜ幹細胞研究なのか? 基礎からご説明します 〜
   (2)ES細胞の無血清培養と分化誘導制御(40 min)
      〜 ESGRO、HEScGRO培地と分化マーカーの特徴 〜
   (3)ヒトの神経幹細胞(40 min)
      〜 ReNcell と ENstem-A 〜
日 時:2007年 9月12日(水)13:30〜15:30
場 所:熊本大学 生命資源研究・支援センター 遺伝子実験施設
    6階 講義室(602)
講 師:日本ミリポア(株)ライフサイエンス事業本部  大久保 昌孝 氏
内 容:
『ES細胞の無血清培養と神経遺伝研究のための最適化』
 ES細胞は、研究者にとって遺伝機能の解明、生物学の理解と発展への活用そして、近年では、再生医療や創薬にとっても大変価値のあるツールとなってきました。
 一方で、幹細胞に示された可能性を十分に実現するために、幹細胞研究を加速させるような最適な系が望まれようになってきました。この系の実現のためにミリポアは、HEScGROやESGRO CompleteTMを含むヒトやマウスのES細胞の無血清培養のためのコンプリート培地の一群を開発いたしました。

 HEScGROTM培地は、ヒトES細胞用として開発することに成功した、動物由来物質を含まない初めての市販培地です。Ready-to-use培地として供給されるHEScGROでは、H1、MEL-1、MEL-2ヒトES細胞を20代以上フェノタイプに分化させずにメンテナンスすることが出来ます。ヒトES細胞細胞株が典型的な未分化のヒトES細胞の形態を示しているという結果は、Oct-4、SSEA-3、アルカリフォスファターゼの幹細胞としてのマーカがそれぞれ陽性であることにより、Karyotypeが安定であることによって、示すことができます。また、さらに重要な点として、HEScGROTM培地中でヒトES細胞を培養すると、遺伝的に異常である時に発現するバイオマーカである、CD30の発現がネガティブとなることがわかっております。

 Ying(2003)らの発見がもとになった、ESGROComplete 培地は、マウスES細胞の全能性の可能性を広げるための無血清培地です。彼らの研究で示されたことは、LIFとBMP-4のコンビネーションが、細胞のフェノタイプを分化させないままの状態に保ちながら、血清や、時にはフィーダーレーヤ細胞株の代わりとして有効に機能することでした。この能力は、ES細胞マーカの発現状態とノックアウトマウスを作るためのES細胞培養の機能面での可能性によって証明されました。

 最後にヒトの神経始原細胞に関するユニークなアプリケーションとして、ReNcellとENstem-Aのデータをご紹介します。それらが分化していく両方の細胞株共、マーカの発現と成熟した神経細胞に分化していく能力を持っているという神経幹細胞としてのクラシカルな性質を示します。

 このセミナーでは、これらの幹細胞研究に関する製品のアプリケーションにおける技術的側面とその利点をご紹介させていただきます。