下記日程で、第88回遺伝子技術講習会を開催します。多数の方の御来聴を歓迎いたします。

=== 第88回遺伝子技術講習会 ===

主 催:熊本大学 生命資源研究・支援センター 遺伝子実験施設
共 催:拠点形成研究B「新世代生命科学におけるプロテオミクス
    研究・教育システムの構築」
テーマ:『アズワン技術セミナー』
   (1)ダメージレスセルソーター「PERFLOW Sort」
   (2)One Cell ピッキング装置
日 時:2007年 7月10日(火)13:00〜15:00
場 所:熊本大学 生命資源研究・支援センター 遺伝子実験施設
    6階 講義室(602)
講 師:古河電気工業(株)生産技術部第一生産技術開発センター 徐 傑 氏
    アズワン株式会社 バイオサイエンスグループ 上向 健司 氏
内 容:
(1)ダメージレスセルソーター「PERFLOW Sort」
概要:
 生細胞にダメージを与えずに分取することが可能な新発想のセルソーター「Perflow Sort」を開発いたしました。セルソーターは、細胞集団の中から目的の細胞を単離する手段として広く用いられていますが、従来のセルソーターでは超音波や電荷を使用して細胞を振り分けていたために、ES細胞や神経幹細胞など物理的ダメージに弱い細胞は死滅する確立が極めて高く、手作業でソーティングが行なわれていました。
 また、非常にコンパクトに設計されており、1細胞ソーティングも可能です。さら
に従来にはなかった透過光情報を取得することも可能です。古河電気工業独自の光フ
ァイバー型フォローセルの採用により、光軸調整も不要です。
 本セミナーでは、「Perflow Sort」の透過光情報とダメージレスソーティングを用 いたアプリケーションについてご紹介いたします。

用途:
・蛍光測定(細胞周期)
・ES細胞のソーティングおよび分取した細胞の培養
・神経肝細胞のソーティングおよび分取した細胞の培養

仕様:
励起レーザー  :488nm、633nm半導体レーザー
検出パラメータ :蛍光×4色、側方散乱光、透過光
フローセル   :光ファイバー型フローセル
サイズ     :550(W)×600(D)×600(H)

(2)One Cell ピッキング装置
概要:
 蛍光標識した単一細胞を単離、検出、回収することができる装置「One Cell ピッキング装置」を開発致しました。本装置は、酵母細胞が個別に25万ウェルに入る、微細加工を施したマイクロチャンバーを使用します。酵母の座標と蛍光強度をスキャンし、ユーザーが指定した蛍光の強度をもつ細胞を自動的にガラスキャピラリーにて、マイクロプレートへ回収します。
 この装置は近畿バイオインダストリー協会が推進する地域コンソーシアムの共同研究である「コンビナトリアルバイオケミストリ技術の開発」を推進するために開発されたものです。現在は、神戸大学、大阪府立大学、大阪大学の三大学との共同研究において研究の重要なツールとして活用されています。
 本セミナーでは装置の概略と、三大学との共同研究にて実施している研究内容およびに途中成果についてご紹介致します。

 ・大阪府立大学(藤井 郁雄 教授)
   酵母表層に抗体タンパクを提示させた人工抗体スクリーニング
   システムを開発。One Cell ピッキング装置を使ったスクリー
   ニングのセットアップを進めている。

 ・神戸大学(近藤 昭彦 教授)
   本研究の基盤となる酵母による7回膜貫通型Gタンパク質共役型
   受容体(GPCR)リガンドスクリーニングシステムを開発。スク
   リーニングのセットアップと同時に酵母表層提示スクリーニング
   の汎用化を推進している。

 ・大阪大学(黒田 俊一 准教授)
   これまでにない1回膜貫通型サイトカインレセプターをターゲッ
   トとしたリガンドスクリーニングシステムの開発。本装置を用い
   スクリーニングを開始している。

システム仕様:
測定対象 :サイズ 直径10μm以下(動物細胞等の大きな細胞への対応も検討中)
蛍光   :GFP, FITC, PE 等 (フィルタ交換により多波長への対応予定)
所要時間 :感度    MESF1800
計測   :撮像分解能 約1μm
     :所要時間  約30分/チップ(25万ウェル)
回収   :所要時間  約30秒/ウェル