第135回遺伝子技術講習会
『より簡便なimmaculate iPS細胞の作製』
センダイウイルスベクターを用いたiPS細胞樹立法
日付:2011年 10月 28日(金)14:00〜15:30場所:熊本大学 生命資源研究・支援センター
遺伝子実験施設 6階【602】講義室
座長:熊本大学 発生医学研究所 幹細胞誘導分野 教授 江良 択実 先生
内容:
(1) CytoTuneTM-iPSを用いたiPS細胞作製の最新技術に関して
講師:ディナベック株式会社 房木 ノエミ 氏 (60分質疑応答10分)
iPS細胞の作製には、体細胞からのリプログラミング過程が必要で、このために遺伝子操作や薬剤処理などが行われます。
より安全で、効率的なiPS細胞作 製技術として、ディナベック社独自の遺伝子導入技術であるセンダイウイルスベクターを利用した方法を新たに開発しました。
センダイウイルスの最大の特長は、細胞核内に遺伝情報が入り宿主のDNA配列の中に組み込まれないため、染色体に傷を付けることがありません。レトロウイルスベクターを用いたことに よる発がんの好ましくない形質転換を考慮する必要がありません。比較的DNAが組み込まれにくいベクターであるアデノウイルスやアデノ随伴ウイルス (AAV)、プラスミドを用いても、DNAを用いる限りこの危険性が伴います。センダイウイルスの特長を利用してデザインされた全く新しいタイプのベク ターがCytoTune™-iPSです。このキットには効率を上げるための技術と、除去のための最新技術がたくさん組み込まれています。
センダイウイルスベクターのもう一つの特徴は、感染性の高さです。動物種も選ばないため哺乳動物や鳥類まで幅広い動物を ターゲットにできます。CytoTune™は、このウイルスの広宿主性を保持しています。
センダイウイルスベクターは、細胞質内で複製を続けるため持続的に存在しましたが、ディナベック社開発の新技術により細胞内から消去することが可能になり ました。CytoTune™-iPSを用いて誘導したiPS細胞は継代に伴い、徐々にCytoTune™-iPSが消えていきCytoTune™iPSが 残存しないiPS細胞になります。また38~39℃で培養することにより、この消去を早めることが可能です。
今回のセミナーではセンダイウイルスを用いたiPS細胞作製の紹介とその技術を利用したCytoTune™-iPSキットの紹介と最新技術について紹介いたします。
(2) iPS関連MBL受託サービスのご紹介
講師:株式会社医学生物学研究所 手嶋 歩美 氏 (10分 質疑応答10分)