第108回遺伝子技術講習会
『実験研究者のための遺伝子・タンパク質発現データの解析』
開催日時:2009年 6月25日(木) 14:00〜17:00場 所:熊本大学 生命資源研究・支援センター
遺伝子実験施設 6階 講義室【602】
講 師:ナラプロ・テクノロジーズ株式会社
シニアサイエンティスト 櫛田 達矢 氏
概 要:
マイクロアレイ、質量分析などを用いて遺伝子およびタンパク質の網羅的発現解析を行っている実験研究者を対象として、アカデミックフリーのWebサービスやツールを使用した簡単かつ定番の解析事例から、文献由来のネットワーク情報を用いた新しい視点からのデータ解析手法を紹介する。解析のイロハについて知りたい、解析の基本を確認したい、新しい解析技術や情報に興味のある初級から中級者向けの講習を予定。
内 容:
1.Webサービスを活用したマイクロアレイデータ解析実習(60分)
マイクロアレイ発現解析で主流となっている発現変動遺伝子群に対する生物学的な機能予測の方法について説明する。統計計算や発現量の倍率変化(Fold change)、クラスタリングアルゴリズムによって導き出されたサンプル間で特徴的な発現パターンを示した遺伝子群(発現変動遺伝子群)に対して、そこに内在する生物学的機能を、統計的手法を用いて予測するフリーのWebサービス、ツールの使い方を実践形式で紹介する。
2.ライフサイエンス向け相互作用データベースGENPACの使い方(60分)
GENPACは、PubMedに登録された1,800万件以上の論文を情報源に、ライフサイエンスの専門用語辞書と自然言語処理技術を用いて、遺伝子・タンパク質、化合物、疾患間の相互作用情報を収集し、無料で公開されている情報抽出システムおよびデータベースである。ヒト、マウス、ラット、ゼブラフィッシュ、ショウジョウバエ、線虫、シロイヌナズナ、分裂酵母、出芽酵母、枯草菌、大腸菌の11種類の生物種に対応し、100万件以上の相互作用情報を持っている。この時間は、GENPACの検索機能の紹介と、ネットワーク可視化・解析ツールであるCytoscapeを使った検索結果の表示および簡単な解析方法を説明する。
3.文献由来の遺伝子相互作用情報を用いた実験データの解析事例(60分)
遺伝子相互作用データベースGENPACを用いた、マイクロアレイおよび質量分析データの解析事例を紹介する。
(1)テキストマイニング技術を用いたバイオマーカー探索の事例
(2)文献情報に基づく遺伝子制御ネットワークの構築の事例
ナラプロ・テクノロジーズ(株)について:
東京大学のバイオインフォマティクスおよびテキストマイニングの研究成果をコアテクノロジーとして設立。IT技術者・バイオロジスト・アノテータのチームが、実験データの解析、アノテーション作業、データベース構築など研究支援サービスを提供します。