アクティブボード・2018年 2月
     ・・・・・2018年 2月 3日作成・・・・・
研究発表を行った学会;
   平成29年度先端モデル動物支援プラットフォーム成果発表会
   2018年 1月24日〜25日(琵琶湖ホテル)
タイトル;劣性(潜性)遺伝形式を示す自然発生多血症モデルマウス『pocy』の解析.
発表者;古閑 成美 氏
   (熊本大学 生命資源研究・支援センター ゲノム機能分野)
要旨;
 我々は『可変型遺伝子トラップ法』を開発し、データベース『EGTC』を全世界に公開している。EGTCクローンの中のAyu21-W267というトラップマウスの解析中に、劣性(潜性)遺伝で多血症の症状を示す自然発生突然変異マウスを発見し、pocy (familial polycythemia)と名付け、CARDに寄託した(CARD ID: 2239)。通常、自然発生突然変異マウスは優性(顕性)遺伝であることが多く、劣性遺伝は稀である。また、pocyは赤血球が多いだけでなく、毛が抜けやすい、つまり禿げるという表現型もある。本研究の目的は、pocyの表現型を詳細に解析するのと並行して、劣性遺伝様式を示すpocyの責任遺伝子を同定し、新たな多血症及び発毛異常の病因・病態解明への糸口を見つけることである。
 これまでに、次世代シーケンサを用いてマウス全遺伝子のエクソーム解析を行い、pocy特異的な変異を19個検出した。また、pocyをC57BL/6と交配し、ヘテロ接合体の状態にした後、改めてホモ接合体(pocy2)を作製して候補遺伝子を絞り込むことに成功した。エクソーム解析で絞り込んだ候補遺伝子の変異(m)を検出するプライマーの設定にも成功し、pocyの表現型とmの相関を調べているところである。
 今回は、主にpocyの発見の経緯と、その表現型について紹介する。