アクティブボード・2017年12月
     ・・・・・2017年12月 1日作成・・・・・
研究発表を行った学会;
   第30回モロシヌス研究会
   2017年 6月23日〜24日(グリーンピア南阿蘇、熊本)
タイトル;生体内における LincRNA-p21 の発現および機能解析.
発表者;古畑 理樹 氏
   (熊本大学 生命資源研究・支援センター 疾患モデル分野)
要旨;
LincRNA-p21はp53によって誘導されるLincRNA遺伝子のひとつとして同定された。細胞レベルの解析では、様々な興味深い機能が報告されているが、それらが生体内でもはたらいているのかは明らかとなっていない。そこで、本研究は、生体レベルでLincRNA-p21の機能を解明することを目的としている。
我々が用いているLincRNA-p21トラップマウスは、トラップアレルよりLincRNA-p21とLacZの融合転写産物が産生される。これを利用し、マウス生体内におけるLincRNA-p21 の発現をX-gal 染色によって観察した。その結果、他の組織に比べて小脳、膵臓、白色脂肪で強く発現していることが認められた。また、p53-/-バックグラウンドではこれらのX-gal染色が消失したことから、LincRNA-p21 は生体内でもp53によって誘導されていることが確認できた。LincRNA-p21Gt/Gtマウスは通常飼育条件下では明らかな異常は見られず、p53+/-バックグラウンドでも野生型と比べて生存率、腫瘍形成率に有意な差は得られなかった。今後は発現の強い組織に着目し、炎症等、p53と関わりのあるストレス条件下における表現型を解析していきたい。