アクティブボード・2017年10月
     ・・・・・2017年10月 1日更新・・・・・
研究発表を行った学会;
   CREST「生命動態の理解と制御のための基盤技術の創出」第5回領域会議 
   2016年12月19日(東京、日本科学未来館)
タイトル;血管内腔圧負荷による血管新生抑制.
発表者;有馬 勇一郎 氏
   (熊本大学 国際先端医学研究拠点施設 西山プロジェクト研究室、 生命科学研究部 循環器内科学分野)
要旨;
 生理的状態において血管は様々な力学刺激を受けていますが、それらの力がどのように血管の形態形成に寄与するかは明らかでありません。血管内皮細胞が受ける力学刺激にも様々な種類がありますが、今回我々は内腔圧に注目して検討を行いました。三浦グループ・横川グループの協力を元に、内皮細胞と線維芽細胞から発芽型血管新生過程を再現することのできるマイクロ流体デバイスを用いて、2.5cmH2Oの静水圧刺激を加える実験系を創出しました。その結果、静水圧負荷を加えることにより血管の伸長は停止し、血管新生が抑制されることを明らかにしました。本反応は可逆的なものであることも明らかになり、静水圧負荷に対する何らかの反応が血管内皮細胞に生じていることが考えられます。これまでの免疫組織学的検討により、アクチンやVEカドヘリンの発現に局在性の変化が生じていることを見出しており、現在静水圧刺激がどのようにアクチンダイナミクスに影響しているのか、検討を重ねています。また、in vivoにおいて静水圧負荷が加わる部位として、切断した血管断端に注目し、日本医科大学福原茂朋先生との共同研究でゼブラフィッシュの血管傷害部位のライブイメージングを行うと、新生血管は圧の高い上流側断端からは発芽しないことが明らかとなりました。同断端の形状はデバイス内の静水圧負荷後の形態と類似しており、現在in vivoの現象まで説明可能なメカニズムの解明に努めています。