アクティブボード・2017年8月
・・・・・2017年 8月 2日更新・・・・・
研究発表を行った学会;
第30回モロシヌス研究会
2017年6月23日~6月24日(グリーンピア南阿蘇、熊本)
タイトル;lincRNAトラップクローンのゲノム編集による修正と機能解析.
発表者;吉住 友希 氏
(熊本大学 生命資源研究・支援センター バイオ情報分野)
要旨;
我々の研究室では、可変型遺伝子トラップクローンデータベースEGTCを公開している。long intergenic non-coding RNA (lincRNA)の機能解析を目的とし、EGTCでlincRNAをトラップしている12ラインのスクリーニングを行った。その中でホモ接合体の一部が胚性致死を示す21-W321ラインの解析を行っている。
21-W321ラインは機能未知のlincRNA遺伝子(1600020E01Rik)をトラップしており、X-gal染色では主に脳、腎臓、生殖器に強い染色が見られた。ヘテロ接合体同士の交配により生まれたホモ接合体の割合は極端に少なかった。さらに、12.5日胚、9.5日胚および胚盤胞から樹立したES細胞株においてもホモ接合体の割合は少なく、この遺伝子の発生初期段階での重要な働きが示唆された。
21-W321クローンではこの遺伝子の第2エクソンと第3エクソンの間にトラップベクターがtail-to-tailで2コピー挿入されており、後ろ向きに挿入されているベクターの表現型への関与を否定できない。そこでCRISPR-Cas9システムにより後ろ向きのベクターの除去を試みた。gRNAをベクター内と第3エクソン内に設計し、理想的な形で後ろ向きのベクターが除去されたクローン21-W321SC(single copy)を得た。このクローンからキメラマウスを作製し、マウスラインを樹立した。現在、表現型解析を進めており、その結果を報告する。