アクティブボード・2017年3月
・・・・・2017年 3月 2日更新・・・・・
研究発表を行った学会;
・第59回日本腎臓学会学術総会
2016年 6月17日〜19日(横浜)
タイトル;敗血症性AKIに対するShikoninの腎機能保護効果機構の解明.
発表者;川良 まどか 氏
(熊本大学 薬学部 薬学科 臨床薬物動態学分野)
要旨;
【目的】敗血症性 AKI は免疫力の低下した患者で発症リスクが高く、適切な治療介入を行わなければ予後が悪く致命的となる。当研究室では、これまで漢方成分のshikoninが敗血症性 AKI モデル動物に対して腎保護効果を示す可能性を見出した。本研究では、敗血症性 ( LPS )-AKIマウスを作成し、 shikonin の腎保護作用機序を解明することを目的とした。
【方法】LPS-AKIモデルマウスを用い、血清Cr、BUN、IL-6およびTNF-αを評価した。また、抗酸化ストレス防御因子( Nrf2 )とその下流の抗酸化遺伝子( HO-1、NQO1 )の発現を比較精査した。
【結果】LPS-AKIマウスでは、血清中のCr、BUN、IL-6およびTNF-α濃度が上昇すること、腎機能障害に伴い腎組織中Nrf2発現が上昇傾向を示すことが確認され、生存率は低下した。一方、shikonin投与群では血清Cr、BUN、IL-6およびTNF-α濃度は有意に減少し生存率が回復した。またshikonin投与対照マウスの腎組織中では、LPS 非投与群に比べ顕著なNrf2活性化が認められ、それに伴いHO-1、NQO1発現が有意に亢進していた。
【考察】shikoninによる腎機能保護効果には、腎組織におけるNrf2活性化・抗酸化応答経路を介した酸化ストレス抑制効果が一部関与している可能性が示された。