アクティブボード・2016年9月
     ・・・・・2016年 9月 1日更新・・・・・
研究発表を行った学会;
・2015年日本分子生物学会
  2015年12月1日〜4日(神戸)

タイトル;ネフロン前駆細胞特異的レポーター遺伝子を持つiPS細胞の樹立.
発表者;賀来 祐介 氏
   (熊本大学 発生医学研究所 腎臓発生分野)
要旨;
胎生期の腎臓は2つの前駆組織である後腎間葉と尿管芽の相互作用によって発生する。このうち後腎間葉には将来糸球体や尿細管を作り、また転写因子であるSix2を発現するネフロン前駆細胞が存在する。我々の研究室ではヒトのiPS細胞からネフロン前駆細胞への誘導に成功し報告している(Taguchi et al., Cell Stem Cell, 2014)。しかし、誘導された組織はネフロン前駆細胞以外の細胞も含まれているため、ネフロン前駆細胞のみを分取する方法の確立が必要となる。加えてヒトのネフロン前駆細胞がマウスのネフロン前駆細胞と同様の遺伝子発現をしているかは明らかになっていない。そこで我々はTALENを用いた相同組換えによってSIX2遺伝子座にGFPを導入したヒトiPS細胞を樹立した。この樹立したiPS細胞からGFPを発現するネフロン前駆細胞が誘導され、このネフロン前駆細胞をさらに誘導することで腎臓の三次元構造が形成された。またGFPを発現する細胞を分取しRT-qPCRおよびマイクロアレイにて解析したところ多くのネフロン前駆細胞関連遺伝子が発現していることが確認された。これらのデータはヒトネフロン前駆細胞を分取できる細胞表面マーカー探索の一助となると考えられる。