アクティブボード・2016年4月
     ・・・・・2016年 4月 1日更新・・・・・
研究発表を行った学会;
・第136回日本薬学会年会 2016年3月26日〜29日(横浜)

タイトル;定量的プロテオミクスを用いた脳脊髄液中の悪性脳腫瘍診断マーカーの同定.
発表者;高畑 智宏 氏
   (熊本大学 大学院生命科学研究部 微生物薬学分野)
要旨;
【目的】脳腫瘍診断法としてMRIが普及しているが受診率は高くなく、診断マーカーなどの簡便な診断法の確立が必要である。しかし、悪性脳腫瘍特異的な診断マーカーは同定されていない。本研究では、定量的プロテオミクス解析によって同一悪性脳腫瘍患者の術前・術後・再発時と非脳腫瘍患者の脳脊髄液(CSF)を比較し悪性脳腫瘍特異的な診断マーカーを同定することを目的とした。
【方法】CSFをトリプシン消化した後、定量的プロテオミクス解析を行い、診断マーカー候補を抽出した。抽出したマーカーを用いて多変量解析を行った。
【結果・考察】同一脳腫瘍患者の術前、術後及び再発時のCSFと非脳腫瘍患者由来CSFの計38検体をそれぞれ10 uLずつ用いてトリプシン消化し、網羅的定量プロテオミクスで解析を行った。解析対象のペプチドはfalse discovery rateが10%以下かつピーク面積が10000以上を全検体の90%以上で検出されたペプチドとした。解析結果からトリプシン消化ペプチド7個とタンパク質1個を脳腫瘍に依存してCSF中で変動する診断マーカー候補として同定した。候補ペプチドを用いて多変量解析を行った結果、脳腫瘍群(術前+再発検体)と非脳腫瘍群(術後+非脳腫瘍患者検体)を区別できることが示された。さらに診断能を定量的に評価するためにROCカーブを作成しAUCを比較した。候補ペプチド単独の診断式と比較して候補ペプチドすべてを用いた診断式では診断能が上昇した。以上の結果から、脳腫瘍患者のCSFを定量プロテオミクスで解析することによって脳腫瘍に依存して変動するペプチドおよびタンパク質を同定した。脳脊髄液中の複数のトリプシン消化ペプチドを定量することによって術後の再発を検出する診断を行える可能性がある。