アクティブボード・2016年1月
     ・・・・・2016年 1月 4日更新・・・・・
研究発表を行った学会;
・第38回日本分子生物学会
 2015年12月1日〜4日(神戸市)
タイトル;肝臓でのエネルギー代謝調節におけるリジン特異的脱メチル化酵素LSD2の役割.
発表者;高瀬 隆太 氏
   (熊本大学 発生医学研究所 細胞医学分野)
要旨;
 細胞は栄養供給などの環境要因の影響を受けつつ、細胞機能に応じたエネルギー代謝特性を備えている。生物個体においても成育環境に合わせて代謝特性が調節されるが、その破綻はメタボリックシンドローム等の代謝性疾患リスクと結びついている。このような代謝特性の変化は、エネルギー代謝酵素の活性や代謝遺伝子の発現レベルで調節されるが、最近ではゲノムワイドな代謝プログラムの変化として捉えられ、エピジェネティックな制御が考えられている。さらに、栄養素やその代謝産物がエピジェネティクス機構の中核であるクロマチン調節因子の基質、補酵素として重要な役割を担うことが明らかになりつつあり、環境因子によるエピジェネティック機構調節の意義が注目されている。我々はこれまでに、リジン特異的脱メチル化酵素LSD1、LSD2に注目し、LSD1が 脂肪細胞において、その補酵素となるFAD依存的に細胞外環境に応じてエネルギー代謝遺伝子をコントロールしていることを明らかにした。また、LSD2が肝細胞において、脂質の取り込みおよび、脂質代謝を抑制し、脂肪毒性を防いでいることを明らかにしてきた。今回、さらにLSD2の肝臓でのエネルギー代謝に対する機能を明らかにするため、マウス肝細胞株AML-12とLSD2 ノックアウトマウスの肝臓を用いて、マイロアレイ法による遺伝子発現変化を解析した。LSD2阻害およびLSD2ノックアウトによるエピゲノムの変化がもたらす新たな代謝変化を明らかにしたので報告したい。