アクティブボード・2015年11月
・・・・・2015年11月 1日更新・・・・・
研究発表を行った学会;
・第15回 日本蛋白質科学会年会
2015年 6月24日〜26日(徳島市)
タイトル;クロマチンリモデリング関連因子hACF1とhSNF2Hの相互作用部位の解析.
発表者;森田 和美 氏
(熊本大学 大学院生命科学研究部 生命分析化学分野)
要旨;
クロマチンリモデリングは、DNAの複製、修復、転写において必須の過程である。近年、ATP依存性クロマチンリモデリング複合体の一種であるhCHRACが、DNAの二重鎖切断の修復に関わることが示されたが、その詳細な分子機構は解明されていない。そこで我々は、hCHRAC複合体の分子基盤の解明を最終目標とした研究を進めている。今回、hCHRAC構成因子のうちACF1とSNF2Hの間の相互作用を解析した。
これまでに当研究室では、SNF2Hに関して、ACF1に結合すると考えられているHAND・SANT・SLIDE(HSS)領域単体の結晶構造を得ている。今回、このHSSの結晶構造を基に、HSS全領域に渡って、18カ所に部位特異的変異を導入した。このうち、発現・精製された変異体14種について、ACF1との相互作用を等温滴定熱量測定(ITC)により解析した。その結果、3種において、ACF1との結合親和性が野生型と比べて大きく低下していた。このうち2種はSLIDE領域に、1種はSANT領域に変異を導入したものであった。また、HAND領域に変異を導入したものにおいては、結合親和性の増加がみられた。
以上のことから、SANT・SLIDE領域がACF1と直接相互作用し、さらには、HAND領域も相互作用面に存在することが示唆された。現在、ACF1とSNF2Hの相互作用様式をより詳細に解析するとともに、ACF1-SNF2H複合体の結晶構造解析を進めている。