アクティブボード・2015年 5月
     ・・・・・2015年 5月 8日更新・・・・・
研究発表を行った学会;
・第55回日本組織細胞化学会
 2014年9月27日〜28日(松本、長野)
タイトル;可変型遺伝子トラップマウスの様々な組織におけるプロモーター活性解析.
発表者;吉信 公美子 氏
   (熊本大学 生命科学研究・支援センター バイオ情報分野)
Abstract;
 遺伝子トラップ法は、個体レベルでの遺伝子機能解析に有効な手段である。我々は、遺伝子を破壊した後で様々な修飾を行うことのできる可変型遺伝子トラップ法により、これまで1266種類の ESトラップクローンを作製し、468クローンについてマウスラインを樹立した(2014年6月4日現在)。トラップした遺伝子は、既知遺伝子やEST配列、既存データベースに登録の無いNew配列、non-coding RNAなどが含まれる。これらのクローン情報は、”The database for the Exchangeable Gene Trap Clones (EGTC) “[http://egtc.jp/]で公開している。
 我々が行っているのはプロモータートラップ法であり、挿入したトラップベクターのレポーター遺伝子β-geoを利用し、X-gal染色によりプロモーター活性部位を検出できる。そこで、遺伝子トラップマウスのプロモーター活性部位を解析するため、130マウスラインの成体各種組織についてX-gal染色を行った。マクロレベルの観察により主要な13組織(脳、胸腺、心臓、肺、肝臓、膵臓、脾臓、胃、小腸、腎臓、筋肉、皮膚、精巣)について、染色パターンをubiquitous(染色数13), middle(12〜2), specific(1), not detected(0)の4タイプに分類した。その結果、ubiquitousおよびmiddleが多くを占め、specificは非常に少ないことが分かった。また、雌雄解析した104ラインのうち、6ラインにおいて一部の組織に染色の雌雄差が見られた。
 これらの解析結果は、遺伝子トラップマウスの様々な組織のプロモーター活性を知るのみならず、コンディショナルノックアウトのためのCreドライバーマウス作製に有用な情報であると考えられる。