アクティブボード・2015年 1月
・・・・・2015年 1月 8日更新・・・・・
研究発表を行った学会;
・第37回日本分子生物学会年会
2014年11月25日〜27日(横浜)
タイトル;分裂酵母イントロンデブランチング酵素Dbr1pはDNA損傷応答に関与する.
発表者;海稲 真永 氏
(熊本大学 大学院自然科学研究科 谷研究室)
Abstract;
真核生物の遺伝子発現過程において、イントロンを取り除き、前後のエキソンを連結させるスプライシング反応は極めて重要な反応である。スプライシング反応によりpre-mRNAから切り出されたラリアット型イントロンは、デブランチング酵素Dbr1pにより直鎖状RNAとなり、その後モノヌクレオチドへと分解される。
我々は、Dbr1pの生体内における機能を解明するため、dbr1遺伝子を欠損した分裂酵母株(Δdbr1株)を作成した。その結果、Δdbr1株ではラリアット型イントロンが蓄積することの他に、スプライシング反応の第一段階に阻害がかかることが示された。更に、Δdbr1とスプライシング(prp)変異との二重変異株であるΔdbr1 prp2、Δdbr1 prp13株が合成致死を示すこと、Δdbr1 prp1二重変異株においてスプライシング反応の阻害が増悪することが明らかとなった。更に、RIP-assayにより、Dbr1pはスプライソソームの構成因子であるU1、U2、U4、U5、U6 snRNAと相互作用していることが示唆された。
また、興味深いことに、我々は分裂酵母Δdbr1株がDNA二重鎖切断を誘発するBleomycinに高感受性を示すことを見出した。そこで、Dbr1pのDNA損傷応答における機能を解析するため、Dbr1pと相互作用する因子の探索を目的としてサプレッサースクリーニングを行った。分裂酵母ゲノムライブラリーを用いてΔdbr1株を形質転換し、Bleomycin高感受性を抑圧した株を単離した。約4,000株をスクリーニングした結果、46株のサプレッサー候補株が単離された。現在、これら候補株を用いて、dbr1欠失変異のサプレッサー遺伝子の同定を進めている。更に、Dbr1pを介した、ラリアット型イントロンの代謝反応、スプライシング第一段階反応、DNA損傷応答間の連携について検証するため、Dbr1pのドメイン解析も進めているので、その結果についても報告したい。