アクティブボード・2014年12月
     ・・・・・2014年12月 1日更新・・・・・

研究発表を行った学会;
・第37回日本分子生物学会年会
 2014年11月25日〜27日(横浜)
タイトル;ハイコンテントスクリーニングによる核小体制御因子の同定とその分子機構の解明.
発表者;松森 はるか 氏
   (熊本大学 発生医学研究所 細胞医学分野)
Abstract;
 核小体では、rRNAの転写やプロセッシング、リボソーム構築が行われる。また、rDNAやNADs(Nucleolus-associated chromatin domain)など特定クロマチンのハブとしても機能し、リボソーム合成やクロマチン制御を介して、細胞の恒常性維持に関わると考えられる。一方、様々なストレスや疾患において、核小体の形態や、構成タンパク質群の挙動にダイナミックな変化が観察されるが、その分子機構は明らかでない。本研究では、約1000遺伝子をターゲットとしたsiRNAライブラリーを用いて、核小体構造の形成に関わる因子のスクリーニングを行った。各siRNAで処理したHeLa細胞に対して、B23/ヌクレオ フォスミン抗体を用いて蛍光免疫染色し、核小体を可視化した。核小体形態は自動画像解析装置で自動撮影し、撮影画像から蛍光シグナル強度や面積を測定し核小体形態を定量化した。これまでに、リボソーム合成因子やmRNAスプライシング因子など、核小体の形成に関わる16の候補因子を同定した。通常、核小体は球状だが、ノックダウンでは、面積が増大し凸凹とした形態を示す異型や、蛍光シグナル強度が減弱する形成不全などを観察した。パターン認識ソフトウェアwndchrm での解析から、これらの核小体形態は、その類似度によってグループに分類でき、異なる6つのリボソーマルタンパクの減弱細胞は同じグループに属することが分かった。このことから、類似した核小体形態の誘導には、共通の遺伝子機能や分子メカニズムが関与するのではないかと考え、我々は同じグループに属する2因子を選出し、その機能解析を行った。5-ethynyl-Uridine(EU)を用いた解析から、ノックダウンでは新生rRNAが減少し、同時に細胞増殖の低下が観察された。またノックダウンではクロマチンの構造変化を伴うことから、現在rDNAやNADsへの影響を解析している。