アクティブボード・2014年 9月
・・・・・2014年 9月 7日更新・・・・・
研究発表を行った学会;
・日本腎臓学会学術総会
2014年 7月 4日 〜 6日(横浜)
タイトル;In vivo血液透析モデルラットによるバンコマイシン除去率評価の妥当性に関する検討.
発表者;福永 雅樹 氏
(熊本大学 薬学部 薬学科、育薬フロンティアセンター 臨床薬理学分野)
Abstract;
【目的】透析による薬物除去率は血液透析患者の薬物投与設計において重要だが、臨床での除去率評価は困難なため、我々はこれまでに乳酸リンゲル液を用いたin vivo血液透析モデルラットによるバンコマイシン(VCM)透析除去率評価を行ってきた。そこで今回、臨床で用いられる重炭酸緩衝液でのVCM透析除去率を比較検討した。
【方法】Wistar雄性ラットの両腎を摘出後、VCMを投与して18時間後より重炭酸緩衝液または乳酸リンゲル液を用いて2時間の血液透析を施行し、VCM血中濃度推移及び透析除去率を求めた。また、生理学的パラメータ及び透析効率の検討も行った。
【結果】透析液の違いによるVCM透析除去率や透析効率への影響は認められなかったが、重炭酸緩衝液によりNa+、K+、HCO3-、Base Excessの是正が確認され、生存期間も10時間延長した。
【考察】乳酸リンゲル液と比較し重炭酸緩衝液による透析は、VCMの透析性に影響はなかったが、生理学的パラメータの是正及び生存期間の延長から血液透析モデルとしてより高い有用性が示唆された。今回得られた知見は透析患者における薬物投与設計や透析に関する様々な研究の一助になることが期待される。