アクティブボード・2014年 8月
・・・・・2014年 8月 4日更新・・・・・
研究発表を行った学会;
・第28回モロシヌス研究会
2014年6月27日〜28日(国立遺伝学研究所、三島)
タイトル;遺伝子トラップマウスを用いたlincRNAの生体内機能解析.
発表者;宮家 幹子 氏
(熊本大学 生命資源研究・支援センター バイオ情報分野)
Abstract;
2009年に、遺伝子の間に存在する比較的長いnc RNA(linc RNA)がGuttmanらによって発見され注目を集めており、近年ノックアウトマウスを用いた実験結果も報告されてきている。EGTCにはlincRNAをトラップしていると予想されるクローンが多数あり、その中の12クローンについて実際にマウスラインを樹立した。そのマウスを用いて、個体レベルでの詳細な解析を行うことを目的とした。昨年の本研究会において、柳井・山添がアダルトヘテロ接合体マウスにおける発現解析について報告を行ったが、今回は主にヘテロ接合体マウス胚の発現解析の結果を報告する。
方法としては、12ライン全てについてヘテロ接合体マウス胚のX-gal染色を行い、トラップした遺伝子の受精後9.5日目と12.5日目における発現パターンを解析した。また、全ラインに関してヘテロ接合体同士の交配を行い、産仔の野生型:ヘテロ接合体:ホモ接合体の比を解析し、生後16週まで、一見してわかる外見の異常はないかを観察した。
X-gal染色を行った結果、12ライン中2ラインを除き、9.5日胚と12.5日胚の少なくとも一方で染色が認められた。また、ヘテロ接合体同士の交配においては、全てのラインでホモ接合体が確認されたが、1ラインでホモ接合体の割合が極端に少なかった。このラインについては12.5日胚においてもホモ接合体の割合が少なかったため、12.5日胚以前に致死となるホモ接合体の存在が示唆された。しかしながら、全てのラインで生まれてきたホモ接合体に関しては一見してわかる外見の異常は認められなかった。今後はこれらの結果をふまえラインを絞って詳細な解析を行っていく予定である。