アクティブボード・2014年 8月
     ・・・・・2014年 8月 4日更新・・・・・

研究発表を行った学会;
・第28回モロシヌス研究会
 2014年6月27日〜28日(国立遺伝学研究所、三島)
タイトル;Establishment and analysis of Cre-driver mouse line.
発表者;森田 彩香 氏
   (熊本大学 生命資源研究・支援センター バイオ情報分野)
Abstract;
 遺伝子の機能解析を効率よく行うために、目的とする組織・細胞においてのみ目的とする遺伝子を破壊することができるコンディショナル・ノックアウトマウスを作製するプロジェクトが全世界的に進展している。しかしながら、そこで重要な役割を演じるCre-driverマウスの整備はまだ進んでいない。我々は『可変型遺伝子トラップ法』を開発し、データベース『EGTC』(Database for the Exchangeable Gene Trap Clones)を全世界に公開している。この可変型遺伝子トラップクローンのX-gal染色にて興味深い発色パターンを示したトラップクローンのレポーター遺伝子をCre遺伝子に置換し、Cre-driver ES細胞株を樹立することで、良質なCre-driverマウスの作製が可能である。
 本研究は、ノックインベクターとして、核移行シグナルを付加したCre遺伝子(NCre)をスプライスアクセプターの下流に配置した「SACre」と、時期特異的にコンディショナルノックアウトを行うためにestrogen receptor ligand-binding domein containing T2 mutation (ERT2)をCre遺伝子に付加した「mERT2」を作製し、レポーターマウスであるROSA26Rマウスと交配して得られた産仔のX-gal染色を行い、その情報を新たなデータベースとして全世界に公開することを目的としている。
 SACreをノックインした34クローンのうち、6ラインについては胎児期の、28ラインについてはアダルトマウスの各臓器のX-gal染色を行った。胎児期の6ライン中、5ラインはユビキタスな発現パターンを示し、1ラインは全く染まらなかった。アダルトマウスのうち23ラインがユビキタス、1ラインが組織特異的な発現パターン、1ラインがその中間の発現パターンであった。
 mERT2をノックインした25クローンのうち1ラインでユビキタス、11ラインで中間的な発現パターン、4ラインで組織特異的な発現パターンが観察され、9ラインでは全く染色がなかった。また、タモキシフェン投与中に死亡するマウスが多数いたため、今後、Cre発現レベルが向上し、かつ、マウスへの負担も軽減する様な薬剤の投与法についても検討する予定である。