アクティブボード・2014年 7月
・・・・・2014年 7月 2日更新・・・・・
研究発表を行った学会;
・日本薬剤学会 第 29 年会
2014年5月20日〜22日(さいたま市)
タイトル;がん細胞選択的な全身投与型 siRNA キャリアとしての PEG 化葉酸修飾デンドリマー/α-シクロデキストリン結合体 (G4) の有用性評価.
発表者;大山 歩務 氏
(熊本大学 大学院薬学教育部博士過程 製剤設計学分野)
Abstract;
我々はこれまで、α-シクロデキストリンとポリアミドアミンデンドリマー (G3) との結合体 (α-CDE (G3)) 中のデンドリマー分子に、ポリエチレングリコール (PEG, MW≒2000) を介して葉酸を導入した Fol-PαC (G3, 葉酸置換度 (DSF) 4) を調製し、これが、がん細胞選択的に siRNA を導入可能であることを明らかにした。しかし、Fol-PαC (G3, DSF4)/siRNA 複合体は、静脈内投与後、血中で一部解離するため、in vivo での RNAi 効果は十分ではなかった。そこで本研究では、血中における複合体の安定性および滞留性に優れる siRNA キャリアの構築を企図し、Fol-PαC (G3) のジェネレーションを G3 から G4 に上げた Fol-PαC (G4) を調製し、その有用性を評価した。50% 血清存在下、Fol-PαC (G4, DSF2)/siRNA 複合体は G3 複合体よりも siRNA の分解を抑制した。また、本複合体は担がんマウス尾静脈内投与後、高い血中滞留性を維持し、腫瘍組織へ移行することが示唆された。さらに、Luciferase 遺伝子安定発現 Colon-26-luc 細胞移植担がんマウスに静脈内投与した際も、本複合体は G3 複合体よりも高い RNAi 効果を示した。これらの結果より、Fol-PαC (G4, DSF2) は、Fol-PαC (G3, DSF4) と比較して、安定性および血中滞留性に優れるがん細胞選択的な全身投与型 siRNA キャリアとして有用である可能性が示唆された。