アクティブボード・2014年 6月
・・・・・2014年 6月 8日更新・・・・・
研究発表を行った学会;
・第61回日本実験動物学会総会
2014年5月15日〜17日(札幌)
タイトル;ヨウ素131の小動物in vivoチェレンコフ光イメージングに関する基礎的検討.
発表者;嶋本 雅子 氏
(熊本大学 生命資源研究・支援センター アイソトープ総合施設)
Abstract;
【目的】放射性のヨウ素131(I-131)は放射性医薬品として人の検査や治療に用いられている。I-131標識化合物の開発やその臨床応用への研究のためには小動物のin vivoイメージグは不可欠な実験手法である。本研究では、I-131によるチェレンコフ光イメージングについて基礎的検討を行ったので報告する。
【方法】使用した装置はリアルタイムin vivo光イメージングシステム(PerkinElmer社製IVIS Spectrum、以下IVIS)であり、RI管理区域内に設置されている。最初に、I-131放射能とチェレンコフ光量との相関および検出限界放射能を調べるために、14本の放射能の異なるチューブサンプル(125 Bq~1 MBq)を作成し、IVISでチェレンコフ光を撮像した。次に、I-131表面線源をろ紙上に作成し、その放射能分布の広がり具合をイメージ化した。さらにイメージングプレート(IP)で同ろ紙を撮像して両者を比較した。
【結果】IVISによるイメージから求めたチェレンコフ光量とI-131チューブ放射能には高い直線関係が見られたが、チェレンコフ光の検出限界は約31 kBqであった。また、I-131によるろ紙表面線源のチェレンコフ光イメージは、実際の線源サイズよりも広く撮像された。一方、IPでは実際の線源サイズとほぼ同じ大きさで撮像され、IVISと同じ撮像時間で約10倍感度が良かった。
【考察】人に対するI-131のイメージングはガンマ線を検出するガンマカメラにより行われる。しかしI-131のガンマ線エネルギーが高いため、マウスのような小動物に対しては専用の小型ガンマカメラでも撮像は困難である。IVISは本来生きた小動物の体内から発する蛍光や発光を高感度CCDカメラで検出して画像化する装置であるが、I-131が出すベータ線もチェレンコフ光として簡単に画像化できる。今回の検討では、I-131表面線源サイズを過大評価するもののI-131放射能量とチェレンコフ光量には高い相関が見られた。今後さらにIVISによるチェレンコフ光イメージングの特性について検討していきたい。