アクティブボード・2014年 6月
・・・・・2014年 6月 8日更新・・・・・
研究発表を行った学会;
・第61回日本実験動物学会総会
2014年5月15日〜17日(札幌)
タイトル;小動物用イメージングシステムとフリー画像解析ソフトを組み合わせたX線CTデータ解析.
発表者;後藤 久美子 氏
(熊本大学 生命資源研究・支援センター アイソトープ総合施設)
Abstract;
熊本大学生命資源研究・支援センターではヒト遺伝子発現マウスの表現型解析を推進するために分子イメージングシステムによる研究体制を構築している。我々は一昨年、そのシステムに関する概要とTc-99mを用いたSPECT性能評価について報告し、昨年、さらなるSPECTの性能評価と、X線CTイメージングによるマウス脂肪測定について報告した。今回、X線CTによるマウス脂肪測定についてさらに検討を重ね、また疾患マウスの骨密度低下について評価を行ったので報告する。
使用した小動物用SPECT/CTシステムは、GM-I社製FX3300プレクリニカルイメージングシステムである。脂肪模擬ファントムを用いX線CT撮像を行い、フリー画像処理ソフト(ImageJ,NIH)を用いて脂肪面積の測定を試みた。さらに代謝異常マウスの脂肪測定に応用し、脂肪体積の評価にまで応用した。また、疾患マウスの骨密度低下の評価は、第四腰椎により行った。
脂肪模擬ファントムのX線CTでは脂肪断面積を正確に求められることが分かった。さらに代謝異常マウス腹部内のCT値の違いを利用して、内臓脂肪と皮下脂肪の各面積を求めることができた。脂肪体積においてもImageJを用いることで、比較的簡単な処理で求められることが分かった。また、疾患マウスの骨密度においても、CT値をコントロールマウスと比較することで容易に評価することができた。
フリーの画像処理ソフトであるImageJを用いることで、多種のイメージング装置から得られる画像データを簡便に精度良く処理・解析できるため、様々な動物実験おける撮像依頼にも手軽に柔軟に対応できると思われる。また、SPECT/CT装置は、高精細X線CTによる解剖学的情報と高分解能SPECTによる機能的情報を融合できるため、X線CT単体の使用以上にさらなる発展が期待できる。今後も、FX3300を用いたメリットを公開し小動物の分子イメージングを積極的に支援していきたい。