アクティブボード・2014年 4月
     ・・・・・2014年 4月 4日更新・・・・・

研究発表を行う予定の学会;
・第36回 日本分子生物学会年会
 2013年12月 3日〜 6日(神戸)
タイトル;遺伝子トラップマウスを用いたlincRNAの機能解析.
発表者;中原 舞 氏
   (熊本大学 生命資源研究・支援センター 疾患モデル分野)
Abstract;
【背景・目的】 非コードRNA(ncRNA)の機能は、少数例を除き、まだ解明されていないものが多い。近年、遺伝子の間に存在する比較的長いncRNA(large intervening ncRNA; lincRNA)の発見が注目を集めているが、報告されているのは培養細胞におけるsiRNAを用いたノックダウン実験がほとんどである。我々は遺伝子トラップによる挿入変異作出を行っており、現在までに1067のラインを樹立し、データベースとしてウェブサイトにて公開している(http://egtc.jp/)。これらのトラップクローンの中から、lincRNAをトラップしている13クローンを選出し、実際にマウスラインを樹立した。本研究では、これらのトラップマウスを用いることで、生体内におけるlincRNAの機能解析を行うことを目的とした。
【方法】 (1)発現パターンの解析:まず、X-gal染色やRT-PCRにより、成体および胎児期における発現パターンの解析を行った。(2)ホモ接合体の表現型の観察:次に、ヘテロ接合体同士の交配を行い、ホモ接合体の表現型を観察した。具体的には、出生可能かどうか、その割合がメンデル比に従っているか、離乳時までに外見上目立った表現型がないか、について観察を行った。
【結果】 (1)X-gal染色の結果、染色は弱いものが多く、全体的に発現が弱い傾向にあった。発現場所は、組織特異的なものやユビキタスなものと各lincRNAによって様々である。また、多くのラインで脳での発現が見られた。(2) ホモ接合体の表現型については、今回調べた12のlincRNAトラップクローンについては、残念ながら上述の観察項目全てにおいて異常は見られなかったが、1系統については出生率の低いものがあり、今後、胎生期について詳細に解析する予定である。