アクティブボード・2013年 5月
     ・・・・・2013年 5月 2日更新・・・・・

研究発表を行った学会;
・日本薬学会 第133年会,
 2013年 3月27日〜30日(横浜)

タイトル;家族性アミロイドポリニューロパチー治療用 siRNA キャリアとしての PEG 修飾ラクトシル化デンドリマー/α-シクロデキストリン結合体の有用性評価.

発表者;林 祐也 氏
   (熊本大学 大学院薬学教育部 製剤設計学分野)
Abstract;
【目的】我々はこれまで、α-シクロデキストリンとポリアミドアミンデンドリマーとの結合体にラクトースを導入したキャリア (Lac-α-CDE (G3, ラクトース置換度 (DSL) 1.2)) が肝臓特異的遺伝子・siRNA キャリアとして有用であることを報告した。本研究では、Lac-α-CDE (G3, DSL1.2) 複合体の安定性ならびに肝臓特異性の向上を企図して、PEG 修飾 Lac-α-CDE (PEG-LαC, G3) を新規に調製し、家族性アミロイドポリニューロパチー (FAP) 治療用 siRNA キャリアとしての有用性を評価した。【方法】ヒト肝がん細胞由来 HepG2 細胞 (アシアロ糖タンパク質受容体 (AgpR) (+)) における PEG-LαC (G3)/TTR siRNA (siTTR) 複合体の TTR mRNA 産生抑制効果は、リアルタイム PCR 法により評価した。PEG-LαC (G3)/Alexa-siRNA 複合体の細胞内取り込みは、フローサイトメトリーにより評価した。PEG-LαC (G3)/siTTR 複合体をマウス尾静脈内投与後の肝臓内 TTR mRNA レベルをリアルタイム PCR 法により測定した。【結果と考察】HepG2 細胞において、PEG-LαC (G3, PEG 置換度 (DSP) 2.1)/siTTR 複合体は、有意な TTR mRNA 産生抑制効果を示した。PEG-LαC (G3)/Alexa-siRNA 複合体の細胞内取り込みは、AgpR 競合阻害剤の添加により著しく抑制されたことから、AgpR を介していることが示唆された。さらに、本複合体は、Lac-α-CDE (G3, DSL1.2)/Alexa-siRNA 複合体に比べて、血清耐性能に優れることが示唆された。マウス尾静脈内投与後、PEG-LαC (G3, DSP2.1)/siTTR 複合体は、Lac-α-CDE (G3, DSL1.2)/siTTR 複合体よりも低投与量において、肝臓内 TTR mRNA レベルを有意に低下させた。以上の結果より、PEG-LαC (G3, DSP2.1) は FAP 治療用 siRNA キャリアとして有用であることが示唆された。