アクティブボード・2013年 4月
     ・・・・・2013年 4月4日更新・・・・・

研究発表を行った学会;
・第41回 北米神経科学会
 2011年11月15日(ワシントンDC, USA)
・第6回 神経発生討論会
 2013年 3月14日(和光)

タイトル;扁桃体におけるDbx1細胞系譜神経細胞の解析.

発表者;江角 重行 氏
   (熊本大学 大学院生命科学研究部 脳回路構造学分野)
Abstract;
 扁桃体や視床下部は、本能行動や情動反応の処理と記憶、社会行動において主要な役割を担っており、その発生発達過程を調べることは、自閉症や気分障害、PTSDといった情動障害に関わる病気の原因を探る上でも重要である。
 ホメオボックス型転写因子Dbx1(developing brain homeobox 1)は、脊髄の介在ニューロンの発生(Pierani et al, Neuron, 2001)に必須であることは知られていたが、終脳発生における関与はこれまでわかっていなかった。最近Dbx1が一過的に大脳皮質外套下領域(Pallial-Subpallial Boundary)や、視索下領域(Preoptic Area)に発現することやこれらの領域で産生されたDbx1系譜神経細胞は扁桃体基底外側核の興奮性神経細胞や扁桃体内側核の抑制性神経細胞にそれぞれ分化することが (Hirata et al, Nature Neuroscience, 2009)明らかになった。そこで、Dbx1系譜神経細胞の扁桃体における機能を調べるため、Dbx1-creマウスを用いて様々な扁桃体マーカーとの免疫組織化学染色法による解析を行ったところ、雌雄とも約70%のDbx1系譜神経細胞が性行動に関わる分子であるAromataseを発現していた。さらに興味深いことにDbx1系譜神経細は雄で約40%、雌で約25%のEstrogen Receptor αを共発現していることが明らかになった。この結果から、私達のグループは脳形成過程において一過的に発現するDbx1が情動に関連する神経回路の発生発達に関わると考え、扁桃体と視床下部のみDbx1遺伝子を欠損させたコンディショナルノックアウトマウス(Dbx1CKO)を作製し解析を行うことにした。すでに、このDbx1CKOマウスは成体まで成長することを確認しており現在解析を進めている。