アクティブボード・2013年 2月
・・・・・2013年 2月 2日更新・・・・・
研究発表を行った学会;
・第35回日本分子生物学会年会
2012年12月11日〜14日(福岡)
タイトル;Six1遺伝子とSix4遺伝子はマウス生殖腺の雄性分化に必須である.
発表者;藤本 由佳 氏
(熊本大学 発生医学研究所 腎臓発生分野)
Abstract;
Sixファミリー遺伝子はショウジョウバエから哺乳類まで保存されたホメオドメインとシックスドメインに特徴づけられる転写因子で、その中でもSix1遺伝子とSix4遺伝子は多くの組織で共発現し協調的に働くことが明らかとなっている。当研究室において、Six1/Six4ダブルノックアウトマウス(dKO)を用い生殖腺の発生について解析を行ったところ、興味深いことに高頻度の性分化異常がXY型Six1/Six4 dKO新生仔生殖巣において観察された。そこで我々は、Six1/Six4遺伝子による性分化制御機構を明らかにするため、胎齢13.5日胎仔生殖巣を解析したところ、雄特異的遺伝子(Mis, 3betaHSD等)の発現は減少しており、逆に雌特異的遺伝子である(Wnt4、Foxl2等)の発現増加が観察され、すでに雌性分化へと進んでいることが分かった。そこで、雄性分化に必須であるSry(Sex determining region on Y chromosome)遺伝子とその下流遺伝子であるSox9(Sry-related HMG box 9)遺伝子の発現解析を行ったところ、両遺伝子の発現が減少していた。さらに、Sry発現開始前の胎齢10.0日において解析を行ったところ、Sry発現誘導への関与が報告されているFog2(Friend of GATA-2)遺伝子の発現が顕著に減少していることが観察された。このことからSix1/Six4はFog2の発現制御を介してSryの活性化を制御していることが示唆された。しかし、Six1/Six4 dKO生殖巣原基は雌雄ともにAd4BP/SF1陽性前駆体細胞数が減少しており、生殖腺の低形成を示していたことから、雄性分化異常この2次的影響である可能性が推察された。そこでin vivoにおいてXY型Six1/Six4 dKO生殖腺にSryを強制発現させる実験を行ったところ、XY型Six1/Six4 dKO生殖腺の表現型は改善された。以上のことから、Six1/Six4は雄性分化において、Sryの活性化に必須な役割を担っていることが明らかとなった。