アクティブボード・2012年11月
     ・・・・・2012年11月 1日更新・・・・・

研究発表を行った学会;
・第33回日本炎症・再生医学会
 2012年 7月 5日〜 6日(福岡)

タイトル;血管内皮細胞の形態制御に関与する転写因子Foxo1の標的因子の探索.

発表者;田村 潔美 氏
   (熊本大学 発生医学研究所 組織幹細胞分野)
Abstract;
 転写因子Foxo1は、その欠損マウスが血管異常により胎生致死に至ることから、血管形成の重要因子であることが示されたが、その分子メカニズムは不明である。我々は以前の研究において、マウス胚性幹(ES)細胞による試験管内1型コラーゲンゲル三次元培養系[in vitro血管形成モデル]を用い、野生型で見られるVEGF刺激による血管内皮細胞の伸長機能が、Foxo1欠損内皮細胞では消失することを示した (Embryonic Stem Cells, chapter 30, p581-606, 2011)。そこで今回、血管内皮細胞の伸長機能の調節に働くFoxo1の標的因子 (キーファクター)を同定するために、DNAチップを用いて血管内皮細胞の遺伝子発現を検討した。さらにDNAチップによって、Foxo1欠損内皮細胞での遺伝子発現変化が見られた因子群からキーファクターを同定するために、得られた因子をFoxo1欠損ES細胞に導入し、血管内皮細胞の伸長機能が回復するかどうかを検討した。その結果、ある因子の遺伝子の導入がFoxo1欠損内皮細胞の伸長機能を回復するキーファクターである可能性が示された。このキーファクター候補として得られた因子の血管内皮細胞の機能調節における役割は知られておらず、本研究によって、Foxo1によって制御される新たな血管内皮細胞の調節機構を明らかに出来ると考えている。