アクティブボード・2011年 7月
     ・・・・・2011年 7月 5日更新・・・・・

研究発表を行った学会;
・日本生物工学会 
 2010年10月28日(宮崎市)

タイトル;受容体発現細胞の作製とそれを利用したアグリ関連物質の評価.

発表者;太田 広人 氏
   (熊本大学 大学院自然科学研究科(工学部物質生命化学科))
Abstract;
【目的】受容体発現細胞を利用した生理活性物質の評価は、医薬分野では広く行われている。しかし、アグリ分野では導入が遅れている。この有効な方法論を農薬や食品科学の分野に応用すれば、新規な昆虫制御剤・機能性食品成分の探索が可能になると考えられる。本研究では、昆虫やヒトのG-タンパク質共役型受容体を培養細胞で機能的に発現させ、様々なアグリ関連物質を評価することを目的としている。
【方法・結果】カイコドーパミン受容体を培養細胞HEK-293で機能的に発現させ、様々なアゴニスト・アンタゴニストを評価することに成功している(Ohta et al.: Insect Biochem. Mol. Biol. 39, 342-347, 2009)。この受容体発現技術を活用して、新たに、(1)ヒトの抗肥満薬のターゲットとしても期待されているベータ3アドレナリン受容体、(2)発酵食品の機能性発現に関与している可能性があるヒト微量アミン関連受容体(hTAAR)ファミリー(サブタイプ1, 2, 5, 6, 8, 9の6種類)の遺伝子をそれぞれ発現ベクターにクローニングし、培養細胞での機能的発現を試みている。hTAARのサブタイプ6と8については、HEK-293細胞内での転写発現をRT-PCRで確認できた。他のサブタイプについても同様の発現確認を進めている。(1)及び(2)の受容体発現細胞を作製した後、多数の食品成分を網羅的・効率的に評価する予定であるため、ハイスループットなスクリーニング系の構築も同時に進めている。本研究の一部は、バイオテクノロジー研究推進会の支援を受けて行われた。