アクティブボード・2010年11月
     ・・・・・2010年11月 4日更新・・・・・

研究発表を行った学会;
・第57回日本実験動物学会
 2010年 5月12日〜14日(京都)

タイトル;新しい部位特異的組換えシステムDre/roxのES細胞及びマウス個体での組換え率の検討.
 
発表者; 荒木 喜美 氏
   (熊本大学 生命資源研究・支援センター 表現型クリニック分野)

Abstract;
【目的】Cre/lox組換えシステムは、マウスのゲノム操作に置いて最も広く利用されているが、このシステムだけでは、挿入するか、脱落させるかのどちらかしか出来ない。今後、より複雑な多段階のゲノム操作を行うためには、Cre/loxと同様の効率を示すもう一つ別の組換えシステムが必要であると考えられる。Dre/rox部位特異的組換えシステムは、2004年にB. SauerとJ. McDermottにより、Salmonella oranienburgに感染するphage D6から同定された。Dre組換え酵素は、32塩基対からなるrox配列を認識し、その間で組換えを起こす。この組換えシステムがCre/loxと同様の高い効率で、マウスES細胞やマウス個体で組換えを起こすことが出来るかどうか、検討を行った。
【方法】Dreによる組換えとCreによる組換えを同一の細胞・個体で検出できるよう、CAG-lox71-rox-bsr-pA-loxP-rox-LacZ-pAという組換えが起こればX-gal染色陽性になるレポーターコンストラクトを作製、マウスES細胞に導入し、1コピーのみ挿入されているクローンを樹立した。これらのクローンに、CAGGS-CreまたはCAGGS-Dreを同じ量用いて一過性に発現させ、組換えによる脱落効率に差があるかどうか比較した。また、このコンストラクトを持つマウス系統を樹立、個体レベルでの組換えも検討している。
【結果および考察】Cre/Dre組換えレポーターES細胞4クローンにCreまたはDre発現ベクターをエレクトロポレーションにて導入、2日後に単一細胞からコロニーが形成されるように薄く播き、5日後にX-gal染色を行い、陽性コロニーの数を比較したところ、Dreによる組換え率はCreと全く同等かやや上であった。至適条件で導入を行った場合にはその脱落効率は7割を超えることから、少なくとも、Conditional Targetingのときの薬剤耐性遺伝子脱落には非常に有効であると期待される。また、良い組換え効率を示したES細胞からマウス系統樹立に成功、組換えを起こさない状態でX-gal染色を行ったところ、若干X-gal染色陽性組織が観察され、LacZ発現が漏れていることが分った。全身でCreを発現させたマウスと交配すると全ての組織が青染された。現在、組織特異的Dreマウスを作製、交配を行っているところである。