アクティブボード・2010年2月
     ・・・・・2010年 2月 4日更新・・・・・

研究発表を行った学会;
・第32回日本分子生物学会年会
 2009年12月9日〜12日(横浜)

タイトル;出芽酵母YIL169C mRNAは細胞質と娘細胞先端に局在化する.
 
発表者; 川口 理絵 氏
   (熊本大学 大学院自然科学研究科 RNA分子生物学研究室)

Abstract;
 細胞内ではRNAやタンパク質が特定の場所に局在することにより、細胞の極性が生じ、分化の誘導が可能となる。我々は、新規局在化RNAの発見と新規局在化機構の解明を目的とし、non-coding RNAを含むすべてのRNA分子の網羅的な局在解析を進めている。出芽酵母のランダムなゲノム断片にタグ配列を付加し、タグに結合するタンパク質とGFPとの融合タンパク質も同時に発現させることでRNAを可視化するという方法を用いて、現在までに、11,600個のRNA局在観察を終了し、局在候補クローンを82個同定した。
 それらの中で、細胞質と娘細胞の先端(bud-tip)に局在する新規局在化RNAとしてYIL169Cを発見した。YIL169CはHpf1pと約70%の相同性を持つ、機能未知のタンパク質をコードしている。Hpf1p (Haze-Protective Factor) タンパク質は細胞膜表層に局在し、細胞壁形成に関わるタンパク質である。
 YIL169C mRNAの局在化配列の特定のため、YIL169C遺伝子を断片化し局在率を調べた結果、YIL169C mRNAの局在にはORFのほぼ全長が必要であることが示唆された。また、bud-tip局在化RNAの局在化に関わるSHE遺伝子群の欠損株を用いた解析から、YIL169C mRNAのbud-tip局在は、既知のbud-tip局在化機構とは異なる局在化機構を経由していることが示唆された。さらに、YIL169C遺伝子の末端にmycタグを挿入した株を作成し、抗体染色を行なった。すると、Yil169cpはER状の局在を示し、相同性の高いHpf1pとはまったく異なる局在を示した。このことから、YIL169CはHPF1とは異なる機能を持つことが示唆された。
 YIL169C mRNAは細胞質とbud-tipという興味深い局在を示し、新しい局在メカニズムや局在意義を持つ可能性が期待される。現在行なっている、YIL169C mRNAの局在場所やタンパク質の機能についての解析を含めて報告したい。