アクティブボード・2009年 7月
・・・・・2009年 7月 3日更新・・・・・
研究発表を行った学会;
・第52回日本腎臓学会学術総会.
2009年6月3日〜5日(横浜)
タイトル;腎臓発生に必要なSall1によって制御されるCreマウスの作成.
発表者; 井上 秀二 氏
(熊本大学 発生医学研究所 腎臓発生分野)
Abstract;
後腎間葉に発現する核内因子Sall1は尿管芽の間葉への引き寄せに必須であり、Sall1ノックアウトマウスは腎臓を欠損する。Sall1は胎生期に腎臓での発現が持続しており、Sall1を高発現する後腎間葉には多能性のネフロン前駆細胞が存在する。この発現様式を利用して、薬剤(タモキシフェン)によって誘導可能なCreリコンビナーゼ(CreER)をSall1遺伝子座に挿入したマウス(Sall1CreER)を作成した。これをCreが活性化するとYFP(yellow fluorescent protein)が発現するマウスと交配し、タモキシフェンを胎生期に投与するとSall1が内在性に発現する後腎間葉、四肢、中枢神経でYFPが検出された。またSall1のエクソンをloxPではさんだマウスと交配してタモキシフェンを投与した場合、Sall1の発現が顕著に減少し低形成の腎臓を認めた。さらに新生児期においてもタモキシフェン投与によりSall1発現の著しい減弱を認めた。よってSall1CreERマウスはSall1発現領域において、細胞系譜特異的・時期特異的に、遺伝子を過剰発現したり、欠損したりするのに有用であると考えられる。