アクティブボード・2008年 5月
     ・・・・・2008年 5月 7日更新・・・・・

研究発表を行った学会;
・日本薬学会第128年会
 2008年3月26日〜28日(横浜)

タイトル;ネオグリコアルブミンの肝ターゲッティング素材としての有用性について.
 
発表者; 平田 憲史郎 氏
   (熊本大学 大学院薬学教育部 薬物動態制御学分野)
Abstract;
【目的】肝臓には糖を認識する受容体が存在することが知られている.この特性を活用し,マンノースを結合させたアルブミン(HSA)が肝臓へのターゲティングに応用されている.そこで我々は新規肝ターゲティング担体作製を目的として,部位特異的変異法により糖鎖含有HSA(gly-rHSA)を組換え蛋白質として発現させ,その物理学的及び生物学的性質について検討を行った.さらに,担体としての機能をin vitro及びin vivoにおいて評価した.
【方法】pichia pastorisを宿主としてgly-rHSA(D63N,A320T,D494N,D63N/A320T/D494N)を作製した.作製したgly-rHSAの物理学的特性は各種分光学的手法を用いて検討を行った.体内動態特性は111In標識したgly-rHSAをマウスに静脈内投与後の血漿中濃度推移及び肝臓移行性を測定した.担体としての機能は,虚血再灌流障害モデルを用いて評価した.
【結果】 物理学的検討から,作製したgly-rHSAは糖鎖が付加していること以外,HSAと同等の構造を保持していることが示唆された.また,体内動態実験より,gly-rHSAの中でもD494N,D63N/A320T/D494Nは血中から速やかに消失し,肝臓による取り込みを受けた.さらに,gly-rHSAのニトロソ化体は,肝虚血再灌流障害に対する抗炎症効果を示した.
【考察】今回作製したgly-rHSAはrHSAと同等の構造を有していることから,蛋白質部分に対する抗原性は問題のないことが予測された.加えて,体内動態実験から肝臓による特異的取り込み機構の存在が示唆された.さらに,肝虚血再灌流障害モデルにおいて,gly-rHSAはNO輸送により臓器障害を軽減したことから,肝臓特異的薬物ターゲッティング素材としての有用性が大いに期待される.