アクティブボード・2008年 4月
     ・・・・・2008年 4月 2日更新・・・・・

研究発表を行った学会;
・第30回日本分子生物学会年会・第80回日本生化学会大会合同大会 BMB2007
 2007年12月11日~15日(横浜)

タイトル;核スペックル形成阻害化合物のスクリーニング.
 
発表者; 徳永 和明 氏
   (熊本大学 発生医学研究センター 器官制御分野)
Abstract;
 真核細胞の遺伝子発現において、mRNAの転写合成から細胞質への輸送に至る過程は、複雑かつ精密なネットワークシステム下で行われている。特に、mRNAの核外輸送はスプライシング反応と密接に連携して進行する。この連携機構において重要な役割を果たすと考えられているのが核スペックルである。核スペックルは多数のスプライシング因子を含み、遺伝子の転写活性に応じてダイナミックに形態が変化する核内構造体であるが、その形成・維持メカニズムについては不明な点が多い。核スペックルの形成・維持機構及び機能を明らかにする目的で、核スペックルの形成を阻害する天然化合物のスクリーニングを放線菌培養上清を用いて行った。放線菌培養上清をHeLa細胞培養液に添加後、抗体染色を用いた蛍光イメージングによりスプライシング因子SF2の局在観察を行い、核スペックルの変化を観察した。これまでに、2016サンプルの培養上清について一次スクリーニングを行い、核スペックルの形成に異常が見られた候補上清15サンプルを同定した。それらのうち、例えば放線菌培養サンプル1895-13aで処理した細胞では、SF2の核スペックルへの局在が消失し、核小体を含む核全体に拡散する表現型を示した。次に、候補サンプルによるスプライシング反応に対する影響を調べるため、RT-PCRを用いてレポーター遺伝子1種と内在性の遺伝子4種のスプライシングパターンを解析した。その結果、培養サンプル1895-13aで処理すると、スプライシング因子の活性制御に関与するCLK/Sty(リン酸化酵素)遺伝子のエキソンスキップを伴う選択的スプライシングに影響が生じることなどが示された。現在、同定したこれら候補サンプルから核スペックルの形成阻害活性を示す化合物の精製を進めている。