アクティブボード・2008年 3月
     ・・・・・2008年 3月 2日更新・・・・・

研究発表を行った学会;
・第30回日本分子生物学会年会・第80回日本生化学会大会合同大会 BMB2007
 2007年12月11日~15日(横浜)

タイトル;膵分泌性トリプシンインヒビターの細胞内シグナル伝達経路の解析.

発表者; 尾崎 宣之 氏
   (熊本大学 発生医学研究センター 臓器形成分野)
Abstract;
(背景・目的)Serin protease inhibitor Kazal typeⅠ(SPINK1) は、トリプシンインヒビターとしての機能の他、増殖因子としての機能も注目されている。消化器・婦人科癌にSPINK1が強発現していること、構造的にepidermal growth factor (EGF) と類似していること、SPINK1はEGF Recepter (EGFR) に結合することなども知られており、EGFRを介しての細胞増殖促進、その機序を明らかにするために以下の解析を行った。
(方法)3T3 fibroblast, AsPC-1, MIAPaCa-2, PANC-1, CAPAN-2, BT-474にEGFもしくはSPINK1を加え、細胞増殖促進活性を比較検討した。免疫沈降法を用いてSPINK1とEGFRの結合を確認した。抗リン酸化EGFR・MAPK・AKT・STAT3抗体を用いて、EGFR・MAPK・AKT・STAT3のリン酸化の有無を検討した。
(結果)EGFと同様にSPINK1は濃度依存性に細胞増殖促進活性を示した。SPINK1とEGFRの結合を確認した。SPINK1の添加によりEGFR・MAPK・AKT・STAT3のリン酸化が認められた。
(考察)SPINK1はEGFRと結合し、EGFRのリン酸化を介して細胞増殖を促進し、SPINK1の細胞内伝達経路にMAPK・PI3K/AKT・JAK/STATを介してのcell growthが関わっていることが示唆された。