アクティブボード・2008年 1月
・・・・・2008年 1月 7日更新・・・・・
研究発表を行った学会;
・第30回日本分子生物学会年会・第80回日本生化学会大会合同大会 BMB2007
2007年12月11日~15日(横浜)
タイトル;ショウジョウバエを用いた睡眠覚醒制御の分子機構の解析.
発表者; 粂 和彦 氏
(熊本大学 発生医学研究センター 幹細胞制御分野)
Abstract;
脳の高次機能を考える上で、覚醒状態は意識の存在の必須要素である。また哺乳類は睡眠中に、脳を休めるだけではなく高次の情報処理を行っていることも示されつつあり、大脳皮質の睡眠覚醒状態が物質的にどのように制御されているかは、興味を集めているが未解明の課題である。一方、近年、ショウジョウバエのような昆虫にも睡眠類似行動があることが示された。最初は単なる行動学的な類似性だけだったが、ショウジョウバエの脳の電気生理学的な解析が行われて、脳の活動との関係が示されたこと、哺乳類との間に遺伝子的な相似性が示され、同じ神経伝達物質が睡眠・覚醒制御に関して同じような役割を担うことが示されたことなどから、行動レベルだけではなく、物質レベルでの類似性が示されて注目されている。われわれは、ドパミントランスポーター遺伝子の変異により睡眠が減少したfumin 変異株を発見し、分子生物学・行動科学・薬理学・電気生理学などの面からショウジョウバエの睡眠・覚醒制御を解析している。従来の研究ではショウジョウバエの状態を活動状態と不動状態に二分する単なる2分法で解析されてきたが、最近、哺乳類同様に不動状態ではあるが覚醒レベルは高い状態を発見し、より詳細に分析する方法を開発した。また変異株の遺伝学的な解析などから得た、概日周期と睡眠覚醒制御におけるショウジョウバエの中枢神経系の役割についても概観する。