アクティブボード・2007年 7月
     ・・・・・2007年 7月 2日更新・・・・・

研究発表を行った学会;
・第40回日本発生生物学会・第59回日本細胞生物学会 合同大会、2007年 5月28~30日(福岡)

タイトル;New culture systems to study the differentiation and proliferation of mouse fetal hepatoblasts.
発表者; 三木 梨可 氏
   (熊本大学 発生医学研究センター パターン形成分野)
Abstract;
 Hepatoblastsはhepatocytesとbiliary epithelial cellsへの分化能を有していることが知られているが、その分化制御機構についてはまだ不明な点が多い。このことからhepatoblastsの分化制御機構を解析するための新たな培養システムの確立を目的とした。
 これまでにE-cadherinがhepatoblastsで発現していることが報告されていることから、 E12.5マウス肝臓からautoMACSを用いてE-cadherin陽性細胞を分離した。分離したE-cadherin陽性細胞においてALBとAFPは発現していたが、CK19(biliary epithelial cells)やTAT、G6Pase (hepatocytes マーカー)の発現はみられなかった。さらに、このE-cadherin陽性細胞を肝障害モデルマウスと胆管障害モデルマウスに移植したところ、それぞれhepatocytesとbiliary epithelial cellsへの分化が観察された。これらの結果から、E-cadherin陽性細胞はhepatoblastsの性質を有していると考えられた。
 E-cadherin陽性細胞を低密度で培養したところ、単一のE-cadherin陽性細胞から様々な大きさのコロニーを形成した。形成したコロニーのほとんどはALB陽性CK19陰性の細胞であったことからhepatoblastsの状態を維持していると考えられた。また、HGFとEGFを添加しE-cadherin陽性細胞を低密度で培養したところ、E-cadherin陽性細胞の増殖が促進された。この結果から低密度培養システムはhepatoblastsの増殖と分化を誘導する因子を同定するのに適していると思われる。
 これまでにOSMによりE14.5 hepatoblastsがhepatocytesへ分化することが報告されている。このことから、OSMを添加しE-cadherin陽性細胞を高密度で培養することでhepatocytesへ分化するかどうか検討したところ、E14.5 E-cadherin陽性細胞ではOSMによりhepatocytesへの分化がみられた。しかしE12.5 E-cadherin陽性細胞では分化しなかった。これら結果から、OSM以外に分化を誘導する因子の存在が推測された。また、高密度培養システムを用いE12.5 E-cadherin陽性細胞とE14.5 E-cadherin陽性細胞を使い分けることでOSM以外の分化誘導因子の同定が可能であると考えられる。