アクティブボード・2007年 4月
・・・・・2007年 4月 2日更新・・・・・
研究発表を行った学会;
・第36回日本免疫学会総会・学術集会、2006年 12月11~13日(大阪)
タイトル; マウス胎生中期AGM分散培養からside population細胞の単離.
発表者; 信久 幾夫 氏
(熊本大学 発生医学研究センター 転写制御分野)
Abstract;
胎生中期のマウス胎仔の血管内皮様細胞から血球分化を再現する系として大動脈-生殖原基-中腎(AGM)領域の分散培養がある。我々は現在までにAGM分散培養により生じた浮遊細胞について、CD45low,c-Kit+(集団A)細胞集団のみにin vitroでの造血能およびin vivoで各種血液細胞に分化する能力が認められることを明らかにした。本研究では、AGM分散培養由来の集団Aについてさらに造血能の高い細胞集団の単離について解析を行った。AGM分散培養より得られた浮遊細胞をHoechst33342で染色したところ、マウス成体骨髄における造血幹細胞が同定されるside population(SP)細胞が集団Aにも存在した。そこで、集団AかつSP細胞および集団Aかつ非SP(main population)細胞についてRT-PCRを行うと、胎生中期に造血活性を持つことが知られている血管内皮細胞のマーカーであるCD31および血球分化に必須の転写因子であるRunx-1(AML 1)、c-Mybの発現が、いずれも集団AかつSP細胞が高いことを示した。さらに、それぞれの細胞についてOP9ストローマ細胞との共培養を行った結果、cobble stone様細胞クラスターを伴う血球細胞コロニー形成能は集団AかつSP細胞が集団AかつMP細胞より3.1倍高いことを認めた。また、AGM分散培養により生じた浮遊細胞中の集団AでないSP細胞については、ストローマ細胞との共培養によってもcobble stone様細胞クラスターは認められなかった。この結果より、AGM分散培養より得られる幹細胞の特徴を持つ集団A細胞は、少なくともin vitroでは、SPを用いてより高い造血活性を示す集団が得られることが分かった。