アクティブボード・2007年 3月
     ・・・・・2007年 3月 7日更新・・・・・

研究発表を行った学会;
・遺伝子・デリバリー研究会第 6 回シンポジウム、2006年5月18~19日 (福岡)
・第22回日本DDS学会、2006 年7月7~ 8日(東京)
・第24回シクロデキストリンシンポジウム、2006 年10月12~ 13日(東京)
・第 16 回アンチセンスシンポジウム、2006 年11月27~ 28日(京都)
・第 23 回日本薬学会九州支部大会、2006 年 12月9~ 10日(熊本)

タイトル; ラクトシル化デンドリマー/α-シクロデキストリン結合体による肝実質細胞への遺伝子デリバリー.
発表者; 山下正悟 氏
   (熊本大学 大学院医学薬学研究部 製剤設計学分野)
Abstract;
 特定細胞に選択的に遺伝子を導入することは、遺伝子導入効率の増大や副作用の軽減などにつながる。本研究では、当分野において開発されたデンドリマー (G2) と α-シクロデキストリン (α-CyD) との結合体 (α-CDE 結合体 (G2)) のデンドリマー部分にラクトースを導入した結合体 (Lac-α-CDE 結合体 (G2)) を構築し、その細胞選択的な遺伝子導入ならびに遺伝子導入改善機構について検討した。アシアロ糖タンパク質レセプター (AgpR) 発現細胞であるヒト肝癌細胞由来 HepG2 細胞において、ラクトース置換度 2.6 の Lac-α-CDE 結合体 (G2, DSL 2.6) の遺伝子導入効率が最も高い値を示し、この遺伝子導入効率には、肝実質細胞膜上の AgpR の関与が示唆され、in vivo においても肝臓選択的な遺伝子デリバリーが可能なキャリアであることが示された。また、Lac-α-CDE 結合体 (G2, DSL 2.6) は市販遺伝子導入用試薬である jetPEITM-Hepatocyte および TransFastTM に比べて細胞傷害性が極めて低く、安全性に優れたキャリアであることが示唆された。さらに、Lac-α-CDE 結合体 (G2, DSL 2.6) の遺伝子導入効率改善効果は、ラクトース残基の肝実質細胞表面の AgpR への結合による pDNA 複合体の取り込み量の増大、また、デンドリマーによるプロトンスポンジ効果や α-CyD によるエンドソーム膜破壊効果、ラクトース残基の細胞内レクチンとの結合による pDNA 複合体の核移行、さらにラクトース残基導入に伴う核内におけるキャリアからの pDNA の遊離促進効果などに起因するものと推察された。これらのことから、Lac-α-CDE 結合体 (G2, DSL 2.6) は肝臓選択的非ウイルスベクターとしての有効利用が期待される。