アクティブボード・2007年 2月
・・・・・2007年 2月 2日更新・・・・・
研究発表を行った学会;
・第31回西日本薬剤学研究会 2006年8月28~29日 (大分)
・第7会バイオビジネスコンペJapan、2006 年12月15日(大阪)
タイトル; Short hairpin RNA 発現ベクターおよび siRNA 導入用キャリアとしてのデンドリマー/α-シクロデキストリン結合体の有用性評価.
発表者; 堤 利仁 氏
(熊本大学 大学院医学薬学研究部 製剤設計学分野)
Abstract;
RNA干渉 (RNAi) は, 二本鎖 RNA (small-interfering RNA; siRNA, short hairpin RNA; shRNA) によって引き起こされる配列特異的な遺伝子発現抑制機構である。 RNAi 法は簡便性や特異性から, 基礎的分野での利用だけでなく, 核酸医薬への応用が期待されているが, shRNA 発現ベクター (shpDNA) や siRNA を目的組織に効率よくデリバリーする方法は未だ確立されておらず, これらの開発・改良が臨床応用への成功の鍵を握る。 本研究では, スターバーストポリアミドアミンデンドリマー (デンドリマー, ジェネレーション 3, G3) と α-シクロデキストリンの平均置換度 2.4 (DS 2.4) の結合体 (α-CDE, G3, DS 2.4) の shpDNA および siRNA 用キャリアとしての有用性を市販キャリアを用いた場合と比較検討した。 その結果, α-CDE は市販キャリアに比べて in vitro および in vivo において優れた RNAi 効果を誘導することが示唆された。 その理由として, shpDNA および siRNA とナノサイズの安定な複合体を形成すること, 細胞傷害性が極めて低いこと, さらに siRNA を細胞質に局在化させることなどの要因の関与が推察された。 一方, α-CDE 複合体を細胞にトランスフェクション後, siRNA は細胞質に局在し, 核内に移行しないことから, α-CDE は shRNA 発現ベクターよりもsiRNA 用キャリアとしての有用性が高いことが示唆された。現在, 敗血症性ショックの重要な遺伝子産物である TNF-α に対する siRNA を用い, その治療効果を in vitro および in vivo にて検討中である。