アクティブボード・2006年 10月
・・・・・2006年 10月 4日更新・・・・・
研究発表を行った学会; 第61回日本消化器外科学会定期学術総会
2006年7月 12日〜14日 ( 横浜 )
タイトル; 急性膵炎とオートファジー ~セルレイン膵炎マウスを用いた解析~
発表者;陶山 浩一 氏
(熊本大学 大学院医学薬学研究部 消化器外科学分野)
(熊本大学 発生医学研究センター 臓器形成分野)
Abstract;
(背景、目的)
近年オートファジー細胞死が注目されている。我々が樹立した膵分泌性トリプシンインヒビター欠損マウスの膵腺房細胞ではトリプシンの生成と共に過剰なオートファジーが誘導され細胞死に至ることが観察されている。急性膵炎はトリプシン生成が炎症の引き金となり膵腺房細胞が空胞変性を来す疾病であり本病態においてもオートファジーが惹起されている可能性が高い。そこで急性膵炎とオートファジーの関連性について解析した。
(方法)
急性膵炎モデルとしてコレシストキニンアナログであるセルレインを腹腔内投与し過剰な膵外分泌刺激を負荷したマウスを用いて膵臓におけるオートファジーの発現を解析した。
(結果)
血中アミラーゼ値及び膵臓HE染色像はセルレインの投与量に応じて悪化した。電顕像ではセルレイン投与量に比例してオートファジーに特徴的なオートファゴゾームが出現した。膵炎の重症化に比例してオートファジーに特異的な蛋白質であるLC-3IIの発現を認めた。
(結論)
急性膵炎時にはオートファジーの機構により膵腺房細胞障害が惹起される。(本研究は熊大発生研 山村研一教授、都立臨床医学研究所 水島昇博士のご指導のもと行われた。)